いまさら漫画を描く人のための心技体ー技編①ーコマ割りの基本

漫画を描きたい。しかし描けなかった。
もう人生は漫画を描くルートから外れてしまった。でもまだやりたい。
そういう「いまさら漫画」をやりたい人のために
いまさら漫画描きのための「心技体」を書いていこうと思います。
今回は心技体の「技編」その①コマ割りについて。

自分の備忘録も兼ねて、自己と対話しながら書いているので、
自分を戒めるために語調が荒くなることがあります(予防線)。
自意識の痛さはご了承ください。

また、前置きとしてわたしは絵の上手くなる方法を語れません。
まだ大した実力もなく、人それぞれの方法論があるので。

それでもいいって方のみ
よろしくお願いいたします。

2、「いまさら漫画」の技編

2-1、コマ割りの深淵を覗け
さあ、心を決めたのであれば早速漫画を描きましょう。
そうなったときに最初に躓くポイントは何だと思いますか?

絵が描けない?あっはっは。そんなことは問題ではないです。
絵が描けない人間でも漫画は描けるんです。
逆に、絵が描ける人間でも漫画を描けない場合があります。

それはどうしてか?たぶんコマ割りが難しいからです。

コマ割り、それは
物語の中と外を隔てる不思議な枠線。

誰もその存在に気づかない漫画の無意識。

多くの読者はコマ割りに注目することはありません。
コマ割りはあくまで演出の領域であって物語の領域ではないからです。
物語に関わらないなら重要じゃないのかというとむしろかなり重要で、
また、コマ割りはそれだけで一冊の分厚い専門書があるくらいに
難しい概念であり、テクニカルな要素です。

読者であるうちはコマ割りを意識することはありませんが、
わたしたちはそれについて否応なし考えなければなりません。

コマ割りについて考えることは「時間とは何か?」という
哲学的な話にもなるんですが(冗談じゃなくそう思ってます)
一旦は簡単に問い直しましょう。

ーぶっちゃけ1ページに何コマくらい必要なのか?

正直、ここが一番最初に引っかかるポイントだと思います。
しかし、多くの漫画を読んで結論を出しました。
6コマです。6コマくらいがいいです。
もちろん実際には増えたり減ったりするんですが、
まず6コマくらいで配置してみて、
そこから調整するという考え方が楽だと思います。
指標がないと難しいですからね。

ー6コマって言われてもどう割るかわかんないよ
まずは3段です。ページに二本の枠線を引いて段を三つを作ってください。
じゃあ3段2コマずつという配置になるのかというと、ちょっと違います。
メリハリがつきにくいので3段2コマずつはストーリー漫画には向きません。
ストーリーを描きたい方は3段2コマ構成は積極的採用しない
ことになると思います。

自分が描いたFeteの二次創作で使っていた例がありましたが少し特殊な使い方です。
二つのものを対比するという使い方のようです。
また、コマの形でメリハリがつかない代わりに
カメラの寄りでメリハリをつけようとしています。

ー何故、3段が基本と考えるのか?

これは個人的なバランス感覚も含んでいるのですが、
実感として今の漫画は3段が多いと思います。
3段構成はスペース的にちょうどいいので
平坦なシーンでは使いやすいんだと思います。
何か良い例がないかなとジャンプを読んでいたら、
たまたま読んだ回のワンピースはほとんど3段構成でした。

何故3段が多くなるのか、より具体的に把握するために
2段と4段のメリット、デメリットを確認してみましょう。

ー2段構成はどういうときに使うか?
2段構成を基本としている漫画は実は結構あります。
スマホでの視認性を高める目的で
Twitterでの公開を前提にしている漫画とかは
2段構成を使っている人が多い印象です。

「かわいい後輩に言わされたい」など、
ラブコメジャンルで有名な川村拓さんの漫画が好きで
個人的にそのラブコメ生産速度がすごいと思っているんですが、
見てると二段構成のページが結構多いです。
これをすることで女の子キャラの登場のしかたがダイナミックになるんです。

ただ、大味な読み応えになってしまうというデメリットがあると思います。
Twitterはインスタントな読み物が好まれるのでむしろそれでよいのですが、
たとえば書籍化(同人誌化)することを考えたときには、少し目立ちます。

コマ数の少なさは、セリフの少なさ、ひいては内容の少なさに直結します。
これは個人的な意見ですが、本にしたい場合に限り、内容は多いほうが戦いやすいです。
まあボロも出やすいんですが、想定しているのは同人誌なので
やりたいことはちゃんと詰めたほうが、作る側も読む側も満足感が高いと思います。

そういうこともあるので2段構成は重要な場面でのみ使いましょう。
絵で魅せたいシーンとか、決め台詞のシーンですね。
下の僕が描いたページもクライマックスのシーンです。

ーでは、4段にしたらどうか?

藤子・F・不二雄の漫画を読むとほとんどずっと4段構成なんですが、
今の時代としては積極的に採用できないと思います。
二つ理由⁼デメリットがあります。
①読者が4段構成の話の密度に耐えられない(とおもう)。
②技術的に4段の狭さに耐えられない

①について、ついてきてくれるファンがいる方ならいいのですが、
ふつうは好意的に読んでくれる方ばかりではないので、
ぼーっとしてても読めることを意識すると、4段は多いなあとおもいます。
②について、現代は人物の書き込みが多い作画が主流なので、
ある程度スペースがないと描きにくいです。
キャラの身体のバランスも見失うと思います。
技術がある人は別にいいけど…

今度出す漫画の序盤のページを持ってきましたが
4段構成にして絵の情報量を増やす代わりに
文字の情報量と展開をめちゃくちゃ減らしていますね。
4段にすることによほどの恐怖心があるようです。

わたしは4段構成は特別なとき以外はしないのですが、
キャラ同士が少し長めの会話するシーンなんかは
4段にして淡々と進めた方が間延びしなくていいかもしれません。
会話のシーンは人物のバストアップを配置するだけでも状況が伝わるので
描きやすいと思いますしね。

とまあ、2段と4段の特徴を考えた結果、
3段くらいを基本構成として、
密度上げたい時は4段、下げたい時は2段で
メリハリがつきやすいんだと思います。
1段とか5段とかはもうあまり想定しなくていいので後述します。

ー結局6コマで、3段で、メリハリってどうやればいいんだよ

百聞は一見に如かずなので、三段で、6コマのページを見てみましょう。
「厳密には4段じゃね?3段目の中に4段目があるから…」
と思われるかもしれませんが、時間の流れとしては3つなので3段と考えます。
段ごとのコマ数としては、1-1-4で、メリハリをつけてるみたいです。

これはたとえ話なのですが、
プレゼン資料を作るときは1スライド1メッセージにしろとかって言われませんか?
あるいは論文書くときには「一文一義」で書けみたいなこと言われませんでした?
それと似たようなことで、
漫画は1段で一つの「時間」が流れると考えると
考える方も読む方もわかりやすいんですよ。

今回のページ例の場合は
①人質を開放する
②それを険しく見つめる
③後悔する
という三つの動きで段分けされていると思います。
4段目は「③後悔する」の時間内での内情のシーンなので、
段分けには含まないという考え方をしています。
というか、左下の2コマなくても問題なく成立するでしょ?

ーでも時間の分節のしかたがわかんねえよ
そういう方は、主体の感情で分節すると考えればいいです。
漫画というのは結局は感情を伝えるメディアだと思ってるので
喜怒哀楽の感情が切り替わるところで、コマを割れば良いと思います。

さきほどの例でコマ割りを振り返ると、
①感情不明
②怒ってる…?
③後悔してる

みたいに感情⁼時間で段を分節していることがわかります。
わたしはこの手の話をちゃんと書いてある本を読んだことがないのですが、
わたしが漫画を読んでいる限り、結構普遍的で応用がききやすい方法論だと思っています。
「金色のガッシュ!」を読み返していた時、
コマの切り替わりでガッシュの顔が喜怒哀楽コロコロ変わるので
感情豊かなキャラクターは漫画映えするなあなどと思いました。
これは余談。

漫画によっては時間⁼感情でコマを分節する方法論をかなり徹底しています。
このコマ割り指導しているひとがどこかに絶対にいると思います。

想定よりも話が長くなってしまったので、
一旦話を打ち切ります。

(啄む亭血液法師)

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