いまさら漫画を描く人のための心技体ー技編③ー会話と感情編

「いまさら漫画」をやりたい人のための「心技体」。
今回は「技編」その③、今回はキャラクターの会話について。

前回コマ割りの方法について軽く書いてみましたが、
それでもまだまだ漫画が描けない。いや、面白くならない

自分はまず文章でプロットを書いてから
ネームの形にして漫画を起こしていくのですが、
自分が脳内で思い描いていた素晴らしい漫画が
実際に出力されるかというとそんなことはない。
典型的な例としては、このようなことが起こります。

ー主人公の独白(ひとりごと)がずっと続いてしまう
ー淡々と会話しているだけで重要なポイントがわかりにくい
ー気づくとキャラクターが無表情、何考えてるのかわからない
etc

なので、今回の記事で書きたいのは、
ひとりごとをやめさせる方法
会話を面白くする方法
無表情をやめさせる方法についてです。
これは
物語をどのように成立させるか?
どのように演出するか?
という問いでもあります。

4-1、まずは相手に質問をしろ

独り言を止めるには対話をさせればいい。
これはひとまず結論です。
しかし、コミュ障なので対話のしかたがそもそもわからない。

対話の基本はなんでしょうか。
それは、質問と回答です。
これは現実の問題として考えてみてください。

たとえば恋愛指南本とかで
相手のことを質問しなさい
相手に喋らせなさい
相手に興味を持ちなさい(少なくとも持ってるふりをしなさい)

みたいなことが書いてあると思います。

あるいは面接。
知らん人のことを知るためには、まずは質問をしないといけない。
漫画でも、キャラクターの気持ちを引き出すためには
何か問いかけをする人が必要なのです。
最近描いていたページです。なんか対話しています。
自分は文章から漫画を起こしているせいか、ひとりごとパートが増えがちなので
質問→答えるのパートを可能な限りはさむことにしています。
質問の仕方や答え方にも個性が出るので、この人物はどんな話し方をするんだろう、
どんな人なんだろう、ということは常に考えなければなりません。

また、重要なのはキャラクターの魅力に迫ることで、
魅力を引き出す質問になっていなければ盛り上がりません。
わたしも、キャラクターに質問を投げかけさせるときは
なるべくキャラクターの謎、物語の謎に迫るものにすることにしています。

独白を止めるためには、質問から掛け合いを生みましょう
これが方法の一つ。

4-2、対話じゃなくて喧嘩させろ

質問から生まれる掛け合いは、
場面を作るうえで最もスタンダードな解決法です。
しかしそれでも、ただの対話シーンでは
面白さのピークが訪れることはないでしょう。

何故なら、対話の中では、真にその人物の本質は出てこないからです。
人間が嘘をつけてしまうのと同様に、キャラクターも素直な人ばかりではなく
大なり小なり嘘をつきながら、生きています。

ドラゴンボールのフリーザでたとえてみると
「ホッホッホ、ザーボンさん、ベジータを仕留めてきなさい」
と言っているシーンと
「この虫けらどもめ!!じわじわとなぶり〇しにしてやる!!」
とぶち切れているシーン、盛り上がるのはやっぱり後者なんですよね。
うわあ、敬語キャラは嘘なんだあってなるわけです。

ベジータで言うと
「はっはっは、俺様に一撃食らわせたら遊園地に連れてってやるぞ」
と、穏やかなお父さんやってるベジータよりも
「貴様ともう一度戦いたかったんだ!!!〇してやるぞカカロット!!」
と、激情ぶつけているベジータの方が盛り上がるわけです。
ベジータは複雑な人間なので、本音と本性があべこべなんですが。

ともかく、キャラクターの本性が見える場面にこそ
キャラクターの面白さ、場面の面白さが噴出すると思います。
嘘や上っ面の言葉ではなく、本当の言葉って何だろうと考えるわけです。

ではその本性を暴くために何をするのかと言えば
キャラクター同士を喧嘩させてみる、というのを提案します。

殴り合いの喧嘩シーンを描けというわけではなくて、
意見が対立している人同士で意見を戦わせてくださいという意味です。
先ほどフリーザとベジータの例でもそうでしたが、
怒っているときにこそ、人は真に迫る言葉を吐くように思います。

自分が描いたもので特に気に入っているページです。
説明しなくてもわかると思うのですが、
このツインテールの方は、冷徹な人間ではないのにも関わらず
冷徹な判断を下さなければならない状況にあります。
だからこそ、怒り、歯を食いしばりながら、
甘いことを言う人間に怒るのです。

怒りには魅力が現れます。

ただ、これを表現するためには、
描いている人間も本当に怒っていないといけません。
書き手が嘘や上っ面でそれをやろうとすると
どこか空々しいセリフになってしまうので。
本気で共感しながら恥ずかしがらずに
書いていくのが良いと思います。

検討してみるのはいかがでしょうか。

4-3、自分が表現しやすい感情は何か?

最も盛り上がりやすい場面作りが喧嘩であり、
怒りのシーンだということは疑っていませんが
実際問題、怒ってばかりではいられないと思うので、別の方向性も検討しましょう。
そもそも、あまり怒らない人は怒りを描くのは難しいと思います。

要は、キャラクターの感情が噴出する瞬間
魅力のピークポイントなわけですから、
噴き出す感情は怒りじゃなくて、喜びでもいいわけです。
哀しみでもいいわけです。
自分の場合は基本的に人生がつらいので
辛みが噴出した漫画を描きがちです。
自分は二次創作の人間なので、あまり都合のいいことはできないのですが、
それでも感情面で嘘をつくのは難しいと思います。

読んでいる皆さんはいかがでしょうか。
嬉しい、楽しい、幸せだ、
悲しい、悔しい、寂しい、失望、喪失、落胆、
恐怖、不安、驚き、戦慄、絶望、
恥ずかしい、切ない、心苦しい、

どんな感情でもいいので自分を振り返って、
自分の表現できる感情を確認してください。
そして、持ち手札からもっとも強い感情を
創作のクライマックスにぶつけてみましょう

チェンソーマンのデンジくん風に言えば
みんな強い感情持ってていいなあ!
感情バトルしようぜ!感情バトル!
なわけです。

辛い感情しか持ち合わせていない方は
たとえ一般受けしないとわかっていても、辛い漫画を描き続けてみましょう。
同じ気持ちを共有できる人間がきっと読んでくれるはずです。
自分の感情に嘘をついて楽しい漫画を描くよりはおそらくマシです。

今回のまとめ

ーひとりごとをやめさせる方法
質問をなげかけるパートを作りましょう
ー会話を面白くする方法
いったん、怒らせて、喧嘩させましょう。
ー無表情をやめさせる方法
感情に沿った漫画を描きましょう。

次はおそらく、絵の話をします。
技編はまだ続く。

(啄む亭血液法師)

 

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